山中の遍路道には「同行二人」とか「南無大師遍照金剛」といった札がかけられていることが多いのですが、「神はあなたとともにある」とか「裁きの日は近い」みたいなクリスチャン系と思われる札もかけられています。TEL師はそれを見て、「面白くないな! 引きちぎって行ったろかな」なんて罰当たりなことを言ってました。もちろん実行に移すことは無かったんですが、それほどキリスト教を嫌っていたんです。
それなのに彼が最後の日々を過ごした病院では、至るところに聖書の御言葉がかかっていたそうです。それを目にしたTEL師、さすがに観念したのでしょう、涙を流していたと伝え聞きます。
でも心配にはおよびません。彼はちゃんと仏式に則って彼の岸に行けたはずです。というのも、親交のあった島根県の尼さんが、「私がTELさんを導いて差し上げます」と、遠くより引導作法をしてくれたそうです。
無類の女好きであった彼のことですから、そりゃあ喜んでホイホイ着いて行ったことでしょう。ぼくも陰ながら尼さんに、「だんだん!」と手を合わせておきました。
しかしTEL師は本当にキリスト教が嫌いだったのでしょうか。どうも違うんじゃないかと思います。というのは、2年前にキリスト教系老人ホームのイベントに行ったときのこと、催しの終わりごろにプロの歌手が外国の民謡を歌い、参加者も一緒に歌ったんですが、TEL師の咽びようといったらこちらが恥ずかしくなるくらいでした。
その後、関係者の女性から食事のお接待をいただき、そこでもまた感動の涙。それを思うと、彼にとっての宗教は、自分が楽しければ何でも良かったんじゃないかと思うんです。
そういうわけですから、生前受けた迷惑の腹いせとかじゃなくマジで、「許し、癒し」の歌を彼に贈りたいと思います。本物の歌だと生々しく感じるだろうから、初音ミクって名前のソフトウェアに歌わせているのが見つかったのでリンクを貼ってみました。このソフト使ってみたいけど15000円ほどするので二の足を踏んでます。
バッハ:マタイ受難曲より、賛美歌
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